正しい日焼け止めの塗り方

日焼け止めの正しい塗り方 子どものための紫外線対策協会
日焼け止めの正しい塗り方 子どものための紫外線対策協会
日焼け止めの正しい塗布量と塗布方法|SPF・PA値の効果を正しく得るために

日焼け止めの正しい塗布量と塗布方法
―― SPF・PA値の効果を正しく得るために知っておくべきこと ――

日焼け止め(サンスクリーン剤)は、紫外線による皮膚障害を予防するための重要な手段のひとつです。しかし、製品ラベルに表示されたSPF・PA値どおりの効果を得るためには、適切な量を、適切な方法で塗布することが不可欠です。
本稿では、環境省「紫外線環境保健マニュアル」および国際的な皮膚科学の知見をもとに、日焼け止めの塗布量・塗布方法・再塗布の重要性について解説します。

目次

  1. SPF・PA値の意味と試験条件
  2. 適切な塗布量の根拠(2mg/cm²基準)
  3. 環境省マニュアルが示す正しい塗布方法
  4. 再塗布の必要性とタイミング
  5. 剤型別(スティック・スプレー・パウダー)の注意点
  6. まとめ

1. SPF・PA値の意味と試験条件

SPF(Sun Protection Factor:紫外線防御指数)は、主にUV-B(紫外線B波)に対する防御効果を示す指標です。UV-Bは皮膚の急性炎症(サンバーン)の主因であり、皮膚がんのリスクとも強く関連しています。

SPF値は「紫外線照射開始から皮膚に紅斑(赤み)が生じるまでの時間」を、無塗布時と比較した倍率で示したものです。たとえばSPF30であれば、無塗布時に15〜20分で日焼けが生じる肌でも、その30倍の時間(約7〜10時間相当)、UVBの影響を遅らせる効果があることを示します。

一方、PA(Protection Grade of UVA)はUV-A(紫外線A波)に対する防御効果の指標で、「+」の数が多いほど防御効果が高くなります。UV-Aは皮膚の深部まで到達し、光老化(シミ・シワ・たるみ)の主因となるため、日常的なケアにおいても重要な指標です。

重要な前提:試験条件との乖離

SPFおよびPA値は、国際標準試験規格(ISO 24444:2010、ISO 24442:2011)に基づき、皮膚1cm²あたり2mgの量を均一に塗布した条件下で測定されています。この試験条件と実際の使用量が異なる場合、表示値どおりの効果は得られません。

2. 適切な塗布量の根拠(2mg/cm²基準)

日焼け止めの塗布量に関する国際的な基準値は、皮膚1cm²あたり2mgです。この数値は前述のISO試験規格の条件に由来し、世界の皮膚科学会・研究機関が推奨する標準量として広く引用されています。

実際の塗布量の目安に換算すると、以下のようになります。

部位 おおよその面積 必要量(2mg/cm²換算) 目安の量
顔(成人) 約500〜600cm² 約1〜1.2ml 1円硬貨大 × 2回分
全身(成人) 約16,000〜18,000cm² 約30〜36ml 大さじ2杯(ショットグラス1杯)
片腕 約600cm² 約1.2ml 小さじ1/4程度
片脚 約1,500cm² 約3ml 小さじ3/5程度

実態調査からわかる「塗り量不足」の問題

複数の研究によると、多くの人が推奨量の25〜50%しか塗布していないことが報告されています(Skin Cancer Foundation)。仮に推奨量の50%しか塗らなかった場合、SPF50の製品でも実質的な防御効果はSPF7前後まで低下するとされています。この事実は、日焼け止めの選択よりも「いかに十分な量を塗るか」が重要であることを示しています。

3. 環境省マニュアルが示す正しい塗布方法

環境省「紫外線環境保健マニュアル」(2020年改訂版)では、部位別に具体的な塗布方法が示されています。以下にその要点をまとめます。

図3-3 日焼け止めの塗布量と塗り方(出典:環境省 紫外線環境保健マニュアル)

図3-3 日焼け止めの塗布量と塗り方(出典:環境省「紫外線環境保健マニュアル」)

(1)顔への塗布

クリームタイプはパール粒1個分を2回(計2粒分)、液状タイプは1円硬貨大を2回分を手のひらに取る。額・鼻・両頬・あごの5か所に分けて置き、各部位から外側に向けて均一に伸ばす。塗布後、同量をもう一度重ねて塗る「2度塗り」を行うことで、塗りムラを補い、より均一な塗布量を確保できる。

(2)腕・脚など広範囲への塗布

容器から皮膚に直接、直線を描くように塗布剤を出す。その後、手のひらを使って螺旋(らせん)を描くように均一に伸ばす。腕・脚はそれぞれ表と裏に1本ずつを目安とし、塗り残しのないよう確認する。

(3)塗り忘れやすい部位への注意

頭皮・生え際・耳(耳介・耳たぶ)・まぶた・唇・足の甲・手の甲・膝の裏などは、露光量が多いにもかかわらず塗り忘れが生じやすい部位です。特に耳は皮膚がんの好発部位でもあり、注意が必要です。また、水着着用時などは衣服のラインと皮膚の境界部分も見落としやすいため、意識的に塗布することが重要です。

4. 再塗布の必要性とタイミング

日焼け止めは、塗布後の時間経過とともに紫外線吸収・散乱能が低下します。また、発汗・皮脂分泌・摩擦(衣服やタオルとの接触)によって物理的に除去されることもあります。これらの要因から、SPF・PA値の高さにかかわらず、再塗布は不可欠です。

状況 推奨される再塗布のタイミング
通常の屋外活動 2時間ごとを目安に再塗布する
水泳・プール・海水浴 耐水性製品でも水中から上がったらすぐに塗り直す
大量発汗を伴うスポーツ 汗を拭いた直後に塗り直す
室内・窓際での作業 UV-AはガラスをほぼUV-B同様に透過するため、4〜6時間ごとの再塗布が目安

なお、ある研究では2回目の塗布において塗り残し部位が補われる傾向があることが報告されており、再塗布には「均一な塗布量の確保」という副次的な効果もあることが示唆されています。

5. 剤型別の注意点

日焼け止めの剤型は、ローション・クリーム・ジェル・スプレー・スティック・パウダーなど多様です。各剤型には利点と注意点があり、使用目的・皮膚状態・使用環境に応じた選択が重要です。

スティックタイプ

小児や外出先での再塗布に適した剤型です。皮膚への直接接触により塗布するため、スティックの塗布面積に応じて少量ずつ重ね塗りすることが塗りムラを防ぐ上で重要です。

スプレータイプ

利便性が高い一方、十分な量を噴霧した後に手で均一に塗り広げる工程が必須です。顔への直接噴霧は避け、手に取ってから塗布することが推奨されます。また、吸入防止のため、必ず換気の良い場所で使用してください。スプレー量が不足すると著しく防御効果が低下します。

パウダータイプ

メイクアップ後の再塗布に利便性が高い剤型ですが、単独での使用で十分な防御効果を期待することは適切ではありません。クリームやローションタイプとの併用により、補助的な役割を担うものとして位置づけることが適切です。

6. まとめ

  • SPF・PA値は、皮膚1cm²あたり2mgの均一塗布を前提とした試験値である
  • 顔全体には1円硬貨大を2回分(2度塗り)、全身にはショットグラス1杯分(約30ml)が適切な塗布量の目安
  • 多くの使用者は推奨量の25〜50%しか塗布しておらず、表示SPFを大幅に下回る防御効果しか得られていない
  • 再塗布はSPF値にかかわらず2時間ごと、水泳・発汗後は即座に行う
  • 剤型ごとに適切な塗布方法が異なり、スプレーやパウダーは特に注意が必要
  • 塗り忘れやすい部位(耳・まぶた・足の甲・生え際)への配慮が重要

日焼け止めの効果を最大限に発揮させるには、製品の選択だけでなく、正しい量・正しい方法・適切な頻度での塗布が三位一体で求められます。特にお子さんの場合は、大人が丁寧に塗布補助を行うことが皮膚保護の観点から重要です。

紫外線対策は、帽子・衣服・日傘などの遮蔽手段との組み合わせで、より高い防御効果を発揮します。日焼け止めのみに依存せず、UVカット帽子UVカットウェアとの併用が、特にお子さんには強く推奨されます。

なお、日焼け止めクリーム(サンスクリーン剤)をお探しの方には、紫外線対策専門ブランド・エポカルが取り扱うUVカットクリーム一覧もご参照ください。石けんで洗い落とせる低刺激処方で、敏感肌のお子さんにも使いやすい製品を取り揃えています。


参考資料
環境省「紫外線環境保健マニュアル 2020」(PDF)
環境省 環境保健に関する調査・研究(紫外線関連ページ)
・ISO 24444:2010(サンスクリーンのSPF試験方法)
・ISO 24442:2011(サンスクリーンのUVA防御効果試験方法)
Skin Cancer Foundation “Ask the Expert: How to Apply Sunscreen”(2025)
Skin Cancer Foundation “Ask the Expert: How Much Sunscreen Should I Be Using on My Face and Body?”


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