アトピー・敏感肌の子どもに知ってほしい紫外線対策
物理的ケアを基本に、無理なく続ける方法
アトピー性皮膚炎や敏感肌のあるお子さんをお持ちの保護者の方へ、紫外線の季節が来るたびに「日焼け止めはどうすれば?」「肌が荒れないか心配」という声をよく耳にします。


このページでは、医学・皮膚科学の根拠に基づきながら、子どもの肌に負担をかけず、日常生活の中で無理なく続けられる紫外線対策の考え方をご紹介します。
なぜアトピー・敏感肌の子どもは紫外線に注意が必要なのか
アトピー性皮膚炎のある肌は、もともと皮膚のバリア機能が低下している状態です。そこに紫外線(とくにUV-B)が当たると、炎症反応がさらに進みやすくなり、症状が悪化することがあります。
皮膚科学の専門誌(皮膚研究/J-STAGE)では、「アトピー性皮膚炎に対する紫外線の影響は功罪両面あるが、過剰な紫外線照射では悪化(photo-Koebner現象)が起こりえる。原則的には健常人と同じように、過剰な日光曝露を避けるよう、紫外線の強い時期には日傘・衣類などによる防御にサンスクリーン剤を併用して急性・慢性紫外線障害を予防する」と記されています。

また、子どもの皮膚は大人に比べて薄く、バリア機能も未熟です。18歳までに一生分の紫外線の約半分を浴びる(WHO サンプロテクションを当会で翻訳しました)とされており、幼いころからの対策が将来の光老化・皮膚がんリスク低減にもつながります。
基本は「物理的なUVケア」
アトピー・敏感肌のお子さんの紫外線対策で、まず大切にしてほしいのは「肌に直接ふれないもの」で守ることです。帽子・衣類・日陰の活用など、物理的な方法が基本です。
日本小児皮膚科学会(日本臨床皮膚科医会と連名の統一見解、2025年5月)でも、次のように案内しています(https://jspd.umin.jp/qa/03_uv.html)。
- 時間帯を工夫する:紫外線が強くなる10時〜14時の屋外活動は、できるだけ短くするか、UVインデックスを参考にして対策を。
- 場所を工夫する:日陰はUVを約50%カット。テント・パラソル・よしずを活用。曇りの日も晴天の約80%の紫外線が出ている。
- 帽子・衣類で覆う:つばが7センチの帽子で約60%の紫外線をカット。七分袖・長袖・襟つきなど、露出の少ない服が有効。
なお、環境省「紫外線環境保健マニュアル2020」でも、帽子・日傘・衣類による遮光が紫外線対策の基本として位置づけられています。(https://www.env.go.jp/content/900410650.pdf)
サンスクリーン剤は「補助的に」使う
物理的なケアで覆いきれない部分(顔・首・手の甲など)には、サンスクリーン剤(日焼け止め)を補助的に活用しましょう。

アトピー・敏感肌のお子さんに日焼け止めを選ぶ際のポイントをまとめます。
選ぶポイント
- 「子ども用」「ベビー用」と表示されたもの、または皮膚科医師に薦められたものを使う。
- 低刺激性・無香料・無着色・アルコールフリーのものが安心。
- 紫外線吸収剤よりも**紫外線散乱剤(酸化チタン・酸化亜鉛)**主体のものが肌への負担が少ないとされている(ただし、近年は「紫外線散乱剤のみ」の製品は少なく、ジェルタイプは吸収剤が多い傾向があるため避けるのが無難)。
- SPFの目安:日常の外出は**SPF15〜20、PA++**程度で十分。海・山・プールなど長時間の屋外活動ではSPF20〜40、PA++〜+++を。(日本小児皮膚科学会ガイダンスより)
使い方のポイント
- 外出の15分前に塗ると肌になじむ。
- たっぷり均一に塗ること(顔はクリームならパール粒大、液なら1円玉大を2回重ね塗り)。耳・首・手背も忘れずに。
- 2〜3時間ごとに塗り直しが必要(汗や水で落ちるため)。
アトピー性皮膚炎の治療薬(タクロリムス外用薬など)を使っている場合は、発がん促進の可能性への配慮から特に紫外線防御に注意するよう専門家は述べています(J-STAGE・皮膚研究)。ただし、「神経質になる必要はなく、一般的な紫外線対策を励行していればよい」とも記されています。必ず主治医に確認した上で対策を進めてください。
紫外線対策6か条から2つ選ぶ。無理なく続けること
「紫外線対策6か条」は、2005年に子どものための紫外線対策協会がWHOの「Sun-Protection」をもとに制定した「紫外線対策5か条」を原点としています。その後、東海大学・佐々木政子名誉教授のご指導により「目の紫外線対策」を加えた6か条に発展しました。
6か条の全項目を一度に実践しようとすると、お子さんも保護者の方も負担になりがちです。まず自分たちの生活に合う2つを選んで、習慣にすることから始めてください。
たとえば、
- 登下校時間が10〜14時にかかるなら → 「帽子をかぶる」と「衣類で腕を覆う」
- 公園遊びが多いなら → 「日陰を選ぶ」と「露出部にサンスクリーン剤を補助的に使う」
- 水遊び・プールなら → 「UVカット素材の水着・ラッシュガード」と「耐水性サンスクリーン剤を補助的に使う」
完璧を求めず、「できることをひとつずつ」が長続きの秘訣です。
ビタミンD不足にならないか心配な方へ
紫外線対策をすると「ビタミンDが不足するのでは」という声もあります。
日本小児皮膚科学会によれば、「骨を作るために必要なビタミンDを合成するためには、1日のうちで手の甲が15分日光に当たる程度で十分。普通の散歩や買い物程度を行っていれば大丈夫」とされています。完全に日光を遮断しなくても、日常の生活の中で必要量は十分に得られます。
偏りのない食生活も気を付けましょう!
近年、日本食があまり食べられなくなり、欧米食が種になりがちですが、魚など積極的に摂りバランスの良い食事を心がけてください。ダイエットや、偏食、アレルギーなどによるビタミンD不足もありますので気を付けましょう。
また、ビタミンDはサプリメントで手軽にとれますが、摂取しすぎは危険なので、医師に相談しながら規定量を守って摂取してください。

ビタミンD の専門家としては、桒原 晶子先生(大阪公立大学大学院 生活科学研究科 食栄養学分野/大阪公立大学 生活科学部 食栄養学科)に、お話をお伺いしましたが、とても分かりやすく勉強になりました。
まとめ
アトピー性皮膚炎・敏感肌のある子どもの紫外線対策は、「日焼け止めをたくさん塗る」ことではありません。
- 帽子・衣類・日陰など、肌にふれないもので物理的に守ることを基本とする。
- 覆えない部分には、子ども用または皮膚科医師に薦められたサンスクリーン剤を補助的に使う。
- 紫外線対策6か条からできる2つを選んで習慣化する。
大切なのは、肌への負担を最小限にしながら、日常に組み込める「無理のない対策」を続けることです。
参考文献・参考リンク
- 日本小児皮膚科学会「こどもの紫外線対策について」(日本臨床皮膚科医会・統一見解 2025年5月)
https://jspd.umin.jp/qa/03_uv.html - 日本皮膚科学会・日本アレルギー学会「アトピー性皮膚炎診療ガイドライン(ADGL)2024」
(日本皮膚科学会誌 2024年発行) - 日本小児アレルギー学会「小児のためのアトピー性皮膚炎の予防と治療の手引き 小児アトピー性皮膚炎治療・管理ガイドライン2024(PADGL2024)」
https://www.jspaci.jp/news/both/20241102-5045/ - 市橋正光「アトピー性皮膚炎患者の紫外線対策」皮膚研究 第6巻Suppl.9(J-STAGE)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/skinresearch/6/Suppl.9/6_Suppl.9_B43/_article/-char/ja/ - 環境省「紫外線環境保健マニュアル2020」
https://www.env.go.jp/content/900410650.pdf - 子どものための紫外線対策協会「紫外線対策5か条」(2005年制定・WHOのSun-Protectionをもとに作成)
https://shigaisen.com/
正しい知識を持って賢い紫外線対策を 紫外線.com
子どものための紫外線対策協会
https://shigaisen.com/
参考に:
- 「子どもに紫外線対策が必要なわけ」(shigaisen.com )
- 「紫外線対策5か条」(子どものための紫外線対策協会)
- 「紫外線環境保健マニュアル2020 環境省」(shigaisen.com 既存記事)

