子どものためにどうして紫外線対策が必要なのか

 

WHOの見解

2009年に提示された『Protecting children from ultraviolet radiation – archived』では、

「生涯における太陽紫外線の大半を18歳になるまでに浴びてしまう」とし、

環境的要因, 身体的要因を加味して、子どもこそ紫外線対策が必要(Children require special protection.)と提言しています。

WHOでは『Sun protection programmes』を用いて、正しい知識の周知から予防医学的見解まで、教育の枠組みでの啓蒙を行っており、またWHOと共働する国際機関が『inter sun programme』のプロジェクトに参加しています。

国連の『子どもの権利条約』では、「胎児から成長期にある18歳までのすべての子どもたちは健康と安全な環境が保障される権利をもつ『The United Nations Convention on the Rights of the Child states that children, including all developmental stages from conception to age 18, have the right to enjoyment of the highest attainable standard of health and to a safe environment. Children require special protection as they are at a higher risk of suffering damage from exposure to UV radiation than adults, in particular』」と規定されています。

子どもは人体に影響を与えることが明らかな有害紫外線から守られるべき対象であることが、重ねて訴えられています。

WHO:「Ultraviolet radiation」 http://www.who.int/uv/en/

「INTERSUN Programme」http://www.who.int/uv/intersunprogramme/en/

 

 

国内の見解

長く太陽神話の根付いている日本では、紫外線対策の必要性の認識が浸透せず、
美容の面のみでの認知に限られてきました。しかし近年、オゾン層の減少という環境変化や太陽紫外線の研究, 医学分野での研究の進歩に伴って、降り注ぐ紫外線と人体への影響が明らかになりつつあると、衆人の関心も増してきました。

国内では、1990年代初めに東海大学で地上に降り注ぐ太陽紫外線量(UV-B)の観測が始まり、経年かつ統計データが得られるようになりました。太陽紫外線の人体に与える影響が明らかになるにつれ、降り注ぐ太陽紫外線の中で生活する私たちの健康が懸念されるようになり、2008年に「紫外線環境保健マニュアル」が環境省より示されるようになりました(2015年版更新)。気象庁や国立環境研究所でも紫外線情報のホームページが開かれ、情報の提供がなされています。

また、医療分野においては2015年に「保育所・幼稚園での集団生活における紫外線対策に関する統一見解」「学校生活における紫外線対策に関する統一見解」が、教育分野における紫外線対策施策を呼びかける形で示されました。

健康に関する意識が高まりつつある今、世代間を通して紫外線に対する認識が変わりつつあるといえるでしょう。

 

環境省

https://www.env.go.jp/chemi/matsigaisen2015/full.pdf

気象庁

http://www.data.jma.go.jp/gmd/env/uvhp/3-40uv.html

日本臨床皮膚科医会・日本小児皮膚科学会の統一見解:

http://jspd.umin.jp/pdf/201509.pdf